新設科目『在宅看護論』が追加となった第89回(平成12年実施)の看護師国家試験から,6回目にあたる今年の第94回国家試験が,平成17年2月に実施されました。そしてこの間,国家試験の制度上にも在宅看護の現場にも少しずつ変化がおこっています。
在宅看護の領域においては,介護保険制度の見直しの時期となり,平成17年10月から“改正介護保険法”が一部施行,平成18年4月からは全面施行開始となります。これに伴い,国試の在宅看護の領域への影響は必至でしょう。
平成11年に初めて示された看護師国家試験出題基準は,平成15年に内容が改定公示され,第93回(平成16年に実施)看護師国家試験からは,必修問題の導入,試験問題の回収という方式に変更されました。
出題内容は,状況判断に基づいた看護の実践ができる総合判断力が客観的に評価できるもの,単純な知識や記憶再生を要求するのではなく臨床的な問題解決能力を問うものが増えてきました。つまり,より実践的でより本質的な看護について問う問題に変わってきているのです。国家試験で問われるのは理解を伴う知識であり,使える形になった知識を増やすことが必要となります。第2版の序でも述べましたが,暗記に頼らず理解することを重視した学習,つまり臨地実習における学習の意義が今回も実感できることと思います。授業で学び,実習で経験し,教科書・参考書で再確認し,さらに問題集を解き様々な角度から真に自分のものになった知識として深めていって下さい。そのような学習活動においても本書は役立つものと確信致します。
本書は,従来から出題基準に準拠した内容でまとめてありましたが,この第3版ではさらに出題基準の項目を重点的に強化し,大幅に内容の改定を行いました。各章ごとに既出問題を中心とした問題と解説も入っているので,学習のまとめとして活用し,その中で国家試験に向けた重要ポイントを学んでいくことができます。
近年,在宅においても病院と同じような比較的高度な医療が必要な在宅療養者も増加しており,看護師にはその担い手としての期待も大きく,高度な医療行為にかかわる技術や判断力も求められています。このような状況にも対応できる学習をして欲しいという意図は今後も出題内容に現れることが予想されます。在宅で多い疾患についても予防から発症,入院治療,そして在宅療養生活,在宅での増悪時など,一連の流れに沿って看護の要点を理解しておく必要があります。災害時等のリスクマネージメントの知識も重要です。さらにこの分野における制度や統計・数値データ等は,今後においても変化することは否めません。現在も“改正介護保険”への移行期でもあり,その詳細部分についての記載は,本書では省くことにしました。統計データと併せて,関連制度についても関係資料等で常に新しい情報の確認をしていくようにして下さい。
最後に第3版の執筆にあたり,新たに執筆協力を頂いた方,従来同様ご尽力頂きました皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
2005年11月
著者代表 峰村淳子